おばちゃん言語聴覚士のボケ予防日記

脳機能、認知症予防について興味津々なおばちゃん言語聴覚士です。急性期脳外科、通所リハビリを兼務してます。まだまだ勉強中の身ですが、一般向け、同業者向けの記事、育児、家事も書くかも。コメント大歓迎です☆

動眼神経麻痺のリハビリ

脳損傷による動眼神経麻痺の話です。

基本的にSTにオーダーが来るのは構音や嚥下の障害がある方なのですが、目のリハビリもしたい、と言われることがあります。

以前、視能訓練士に教わって、ST時間内に動眼神経麻痺に対する訓練も追加で少ししました。

動眼神経麻痺で、斜め左前方のみで焦点が合い、少しでも視線を右方向へ動かすと復視になってしまっていました。
つまり左目の内転障害です。
上転、下転障害もありますが、まずはわかりやすく内転障害に対するリハビリ方法です。

訓練
①ペン等を見てもらい、焦点が合う位置を見つける。
②ペンをごくわずかに右方向へ動かし、そこで焦点を合わせるように意識しながら、ジーっと見つめてもらう。

③もし②で焦点を合わせられたら、さらにペンをごくわずかに右へ動かす。→その繰り返し

やり方としてはとっても簡単ですが、患者さんとしては非常に難しい。
②でもなかなか合わない人が多いです。
それでも、毎日やっていれば、焦点が合う範囲が少しずつ広がっていきます。

上転下転障害も、同じく焦点が合うところから上、下方向に少しずつずらしていく、ということになります。
内方へ、上方へ、内方へ、下方へと、円を書くように焦点が合う範囲が広がっていけば理想的ですが、実際は難しいです。

視能訓練士曰く、そこで焦点が合ってると思い込むことも大事だそうです。
合ってるような気がする、それで万々歳!
中脳からの指令がきていないので、焦点が合っていると大脳皮質で認識させれば、トップダウン処理で中脳も信じこんで働いてくるかもしれない!!←完全に私の持論(^-^;)


発症後半年程度たっても症状が残っていれば、眼科でプリズム眼鏡を作ってもらうようになるらしいです。
この方は、回復期を退院してすぐに眼科に行き、その日に、自分の眼鏡に貼るだけのシールタイプの物を貼ってもらったらしく、大分見やすくなったとのことでした。
眼鏡の左側に波々のシールを貼ってました。



麻痺のリハビリの基本は、動かないところを手伝いながら自分でも動かしてもらう、自動他動運動(自動介助)、動かせる人は自分でしっかり動かす!だと私は考えています。

動眼神経麻痺は、目に付着してる外眼筋が麻痺して眼球運動が困難になってるので、その筋肉たちを一生懸命動かしていくことがリハビリになるので、この訓練のやり方で間違っていないと思います。
自動介助運動は不可能なのでね。



さて、動眼神経麻痺というと、上眼瞼挙筋の麻痺で眼瞼下垂も顕著となります。
これは、顔面神経麻痺の眼輪筋麻痺に対する訓練と同じやり方で、訓練できます。
これは介助運動が可能なので、自分で開眼してもらいながらの自動介助運動を反復していきます。
STはCI セラピーとも言いますね。


また、瞳孔括約筋麻痺による、瞳孔散大に対する訓練は無理ですね。
日常生活で光を浴びてるだけでリハビリになってるのかもしれません。





自分の職域とか云々堅いことは言わずに、患者さんの要望にできるだけ答えていけるSTでありたいです!
STも視能訓練士も業務独占ではありませんからね。
もちろん、動眼神経麻痺のリハビリだけでは、脳リハのコストはとれませんが(T-T)

最後まで読んでいただきありがとうございました!