胸式呼吸より腹式呼吸の方が大事?いいえ!そんな事ありませんよ!
「胸式呼吸より、腹式呼吸の方が大事ですから、腹式呼吸を練習しましょう。」
そう言う人が多く、私もそれを信じていた一人です。
元々腹式呼吸タイプの人と胸式呼吸タイプの人、両方のタイプの人がいます。
私は元々完全な胸式呼吸タイプで、声が小さかったです。
STになったばかりの頃、患者さんに腹式呼吸大事ですよ、と腹式呼吸の訓練をよくやってました。
私自身も腹式訓練をしました。
息を吸うときにお腹を膨らませて、吐くときにへこませる、たったこれだけです。
1日に1から2回だったでしょうか、きがついたときにやってました。座位でも仰向けに寝ていても、仕事中でもやってました。
そうして完全に腹式呼吸となるまでに半年かかりました。
それからは声が大きくなりました。
歌も上手くなったような気がします。
楽に声が出せるし、声の質も良くなりました。
それから数年は何の疑問も持たず、腹式呼吸信者でした(笑)
でも20代前半の自分でも半年かかったので、患者さんに習得してもらうのは無理があると思い、訓練で教えることはあまりしなくなりました。
しかしある時疑問に思ったのです。
私は腹式呼吸しかしてない。
安静時も、深呼吸もどちらも腹式だ、胸式呼吸を全然していないぞ!?
使わない筋肉は硬くなる→動かなくなる
というリハビリの基本的な考え方があります。
私の呼吸筋、特に肋間筋は、全く使われていないのではないか!?
それは極端ですが、(疲れて息が上がってるときは自然と胸が上下します)胸式呼吸をほとんどしていない事も良くないのではないか?
また私のSpO2、血中酸素飽和濃度が常に96%しかないのです。
健常者にしてはやや低めです。
腹式呼吸だけでは十分な換気ができてないのか、という疑問も出てきました。
調べていくと、やっぱり胸式、腹式のどちらも大事みたいです。
胸式呼吸は主に肺の上部で酸素交換をする
腹式呼吸は主に下部
胸式呼吸は胸の筋肉を緊張させるので、喉の筋肉にも力が入る→力んだ声や楽な声になりやすい
腹式呼吸は喉に余計な力が入りにくいし、たくさん空気を取り込めるので、大きな声を楽に出せる
声を出す、という観点からは、断然腹式呼吸が向いています。
腹式呼吸が見についている人は、発声時に無意識に腹筋に力が入って大きい声になりますし。
腹式呼吸の方が発声の基礎となる吸気量が多いですし。
ここまでは、今まで言われていた腹式呼吸の重要性です。
しかし、
ふだんの無意識の呼吸は脳幹からの司令
意識して行う深呼吸は大脳皮質からの司令
深呼吸は、体内の酸とアルカリのバランス調節機能が作動しなくなる
「体内の二酸化炭素量が一定に保たれることで、この機能が作動していて、酸性に傾くと酵素の働きが悪くなるなどの影響もあるので、深呼吸は2~3回にとどめた方がいい」
ほぼ腹式呼吸だけを行っていると、呼吸筋が硬くなってくるのは確かです。
胸式呼吸の訓練は、胸に手を当てて、吸気時に胸が膨らんでいるか確認しながら行います。
そして大事なのが呼吸筋ストレッチ。
体をねじる、脇腹〜胸の側部を伸ばす、手を広げて胸を広げたり縮めたりなど
これを楽に息をしながら行ったり、
呼吸に合わせて行う方法もありますね。
それと私が良くするのが、手を頭の後ろで組み、深呼吸をする。これだけです。
これで胸式呼吸になります。
さて、胸式呼吸と腹式呼吸のどちらが大事か?
結論はどちらも大事です。
あくまで胸式呼吸が主、腹式呼吸は補助です。
両方メリットはありますので、
両方マスターしていれば、無意識下で効率よく使い分けているでしょう。