おばちゃん言語聴覚士のボケ予防日記

脳機能、認知症予防について興味津々なおばちゃん言語聴覚士です。急性期脳外科、通所リハビリを兼務してます。まだまだ勉強中の身ですが、一般向け、同業者向けの記事、育児、家事も書くかも。コメント大歓迎です☆

胸式呼吸より腹式呼吸の方が大事?いいえ!そんな事ありませんよ!

「胸式呼吸より、腹式呼吸の方が大事ですから、腹式呼吸を練習しましょう。」

そう言う人が多く、私もそれを信じていた一人です。

元々腹式呼吸タイプの人と胸式呼吸タイプの人、両方のタイプの人がいます。

私は元々完全な胸式呼吸タイプで、声が小さかったです。

STになったばかりの頃、患者さんに腹式呼吸大事ですよ、と腹式呼吸の訓練をよくやってました。

私自身も腹式訓練をしました。
息を吸うときにお腹を膨らませて、吐くときにへこませる、たったこれだけです。

1日に1から2回だったでしょうか、きがついたときにやってました。座位でも仰向けに寝ていても、仕事中でもやってました。

そうして完全に腹式呼吸となるまでに半年かかりました。

それからは声が大きくなりました。
歌も上手くなったような気がします。
楽に声が出せるし、声の質も良くなりました。

それから数年は何の疑問も持たず、腹式呼吸信者でした(笑)
でも20代前半の自分でも半年かかったので、患者さんに習得してもらうのは無理があると思い、訓練で教えることはあまりしなくなりました。

しかしある時疑問に思ったのです。

私は腹式呼吸しかしてない。
安静時も、深呼吸もどちらも腹式だ、胸式呼吸を全然していないぞ!?

使わない筋肉は硬くなる→動かなくなる
というリハビリの基本的な考え方があります。

私の呼吸筋、特に肋間筋は、全く使われていないのではないか!?

それは極端ですが、(疲れて息が上がってるときは自然と胸が上下します)胸式呼吸をほとんどしていない事も良くないのではないか?

また私のSpO2、血中酸素飽和濃度が常に96%しかないのです。
健常者にしてはやや低めです。
腹式呼吸だけでは十分な換気ができてないのか、という疑問も出てきました。


調べていくと、やっぱり胸式、腹式のどちらも大事みたいです。

胸式呼吸は主に肺の上部で酸素交換をする
腹式呼吸は主に下部

胸式呼吸は胸の筋肉を緊張させるので、喉の筋肉にも力が入る→力んだ声や楽な声になりやすい
腹式呼吸は喉に余計な力が入りにくいし、たくさん空気を取り込めるので、大きな声を楽に出せる

声を出す、という観点からは、断然腹式呼吸が向いています。
腹式呼吸が見についている人は、発声時に無意識に腹筋に力が入って大きい声になりますし。
腹式呼吸の方が発声の基礎となる吸気量が多いですし。

ここまでは、今まで言われていた腹式呼吸の重要性です。
しかし、

ふだんの無意識の呼吸は脳幹からの司令
意識して行う深呼吸は大脳皮質からの司令

深呼吸は、体内の酸とアルカリのバランス調節機能が作動しなくなる
「体内の二酸化炭素量が一定に保たれることで、この機能が作動していて、酸性に傾くと酵素の働きが悪くなるなどの影響もあるので、深呼吸は2~3回にとどめた方がいい」

酵素の話が出てくるなんて意外ですね。
酵素はさておき、

ほぼ腹式呼吸だけを行っていると、呼吸筋が硬くなってくるのは確かです。

胸式呼吸の訓練は、胸に手を当てて、吸気時に胸が膨らんでいるか確認しながら行います。

そして大事なのが呼吸筋ストレッチ。

体をねじる、脇腹〜胸の側部を伸ばす、手を広げて胸を広げたり縮めたりなど 

これを楽に息をしながら行ったり、
呼吸に合わせて行う方法もありますね。

それと私が良くするのが、手を頭の後ろで組み、深呼吸をする。これだけです。
これで胸式呼吸になります。



さて、胸式呼吸と腹式呼吸のどちらが大事か?
結論はどちらも大事です。

あくまで胸式呼吸が主、腹式呼吸は補助です。
両方メリットはありますので、
両方マスターしていれば、無意識下で効率よく使い分けているでしょう。