おばちゃん言語聴覚士のボケ予防日記

脳機能、認知症予防について興味津々なおばちゃん言語聴覚士です。急性期脳外科、通所リハビリを兼務してます。まだまだ勉強中の身ですが、一般向け、同業者向けの記事、育児、家事も書くかも。コメント大歓迎です☆

言語聴覚士に向いている人は?適性は?〜実体験に基づいて考える〜

言語聴覚士を目指している方、言語聴覚士という職業が気になっている方、言語聴覚士になろうか迷っている方、そんなあなたのお役に立てれば幸いです。

言語聴覚士に向いている人ってどんな人でしょう?

ズバリ!
「人と関わる事が好きな人」
これが一番重要☆

そして
「コミュニケーション、言葉、食べる、ことに興味がある人。」

「コミュニケーション力、探究心、忍耐力、根性があればなお良し!」


特に人と関わることが好きではないと、つらくなったり、対物の方がいいと思ってしまうこともあります。
ほぼ一日中対人での仕事です。
次の患者様に会いに行くまでは数分しか間があいておらず、その間に看護師などとのコミュニケーションもあります。
コミュニケーションが好きでないと、かなりきついです。

小児志望の方は子供好きでないと続きません。
実際のところは、ほとんど成人相手の勤務になります。
統計はわかりませんが、
私の周りの印象では、
成人9割、小児1割の印象です。
成人のうち、9割が脳関係のリハビリに携わっている印象です。
成人の残りの1割は、補聴器・聴覚関係、呼吸内科、循環器内科ではないでしょうか。
あくまで推察です。

小児、聴覚志望でも就職先がない、または待遇が悪いことも多いことから、成人のリハに携わっている人も多いです。

つまり子供は好きだけど、高齢者は嫌いという場合は少し厳しいかも。

成人のリハといっても、ほとんどが高齢者です。
認知症がある方も多いです。

口腔ケアもあるので、めちゃくちゃ汚い口の中をきれいにしていく、という仕事もあります。
(基本はリハビリなので、ケアばかりというわけではありません。)
物凄い口臭と戦うこともあります。
私は口腔ケアは1日に1回あるかないかぐらいです。

最初は抵抗があっても、だんだん慣れてくることが多いです。
言語聴覚士って、割と几帳面できれい好きな人が多いんですが、割と皆さん慣れてます。



そして人が好きということに加えて、探究心、忍耐力、根性もあるとなお良いです。
患者様の症状は千差万別!人により全く違います。
「なぜこのような症状が出るのか、どんなリハビリをしたら良くなるのか」と考え続けなければなりません。
そして、なかなか良くならないのが現状です。
そのため忍耐力も必要です。

そしてコミュニケーション力。(会話力、説明力)

これもあるとなお良いですが、会話が苦手でも全然大丈夫です!

私は口下手です。
話はするより聞くほうが好き。
でも、患者様や職員間で説明する程度の会話力は、仕事の中でついてくるので、あまり心配はいりません。

それよりも話は聞くよりする方が好き、の方がちょっとつらいかもしれません。
基本的には患者様の発話を引き出したり、話を聞くことのほうが多いですから。

でもどちらでも大丈夫!
口下手でも喋りたがりでも、人が好きで、患者様をなんとか良くしたいという思いがあれば、仕事にやりがいを見いだせるのです!

ここの働き方が合わないと思えば、病院、施設を転職することも可能です。



ですが、
実際は、資格を持ってるのに、ST自体を辞めちゃった人もいます。

その原因は働ける場所の狭さ、も関係してるのでは、と思います。
STとして働ける場所は病院、施設がほとんど。
もう少し、補聴器調節や、教育関係にも進出できるように協会の方がしてくれると、病院で働くのが辛くなった人が転職しやすいんですが。

例えば、看護師って、働き方、働く場所が多様なんですよね。
病院、福祉施設、検診センター、献血センターなど数多くの種類から選べるので、STよりはましかも、と思います。


それでも、STは保育士や教師に比べると、その職業自体を辞める確率は低いと思います。
それはSTが、体力的にきつくないこと、平均的には残業が少ないことが挙げられるでしょう。


もう一つ、辞めたくなる理由があります。
自分が言語聴覚療法を行う意義が見いだせなくなるため、自信がなくなるため。

患者様と一緒に「カカカ…」とか言ってると、これヘルパーでもできるよな、と思ってしまいます。
通リハでは実際ヘルパーも周りで見てます。
というか、私がいない時はヘルパーがやります。

そこで私がやる時は、「カカカ…を口を開けて顎を動かさずに言えますか?言えたら舌の奥の方の力がついてますよ」とか豆知識を提供すると、言語聴覚士としてのメンツも保てるわけです。
自信もなんとか保てます。

本当に業務を遂行するだけの最低限の知識のみで臨床に望んでいると、後から自分がつらくなってきます。

それと、言語聴覚士の資格があれば、1年目でも40年目でも、単位算定数は同じです。患者様から払っていただくお金は同じということです。

そのため患者様から、「20年目の貴方より、2年目のあの方に担当を変えて欲しいな」なんて言われでもしたら、本当につらいんです。
そんなことが時々起こるのです。

さらに、経営者側も、給料をあまり払わなくてもいい経験年数の浅いST、かつ手間のかかる新人よりは指導があまりいらない数年目のSTの方が欲しくもなります。

これは、経験年数が増えれば増えるほど、自分の仕事に自信がもてないとつらくなってきますし、転職もしにくくなってきます。

自信をもって、経験年数なりの仕事をするにはどうしたらよいのか?
もう勉強しかないんです。
勉強するには、勉強が好きでなければ続きません。
探究心もないと何を勉強したらよいかわかりません。


まぁ、そんな訳で、「資格があるから安定〜♪」なんて甘い仕事では全然ないんです。




ここで、理学療法士作業療法士と迷ってる方もいらっしゃるでしょう。
ここまでに書いた、人が好き・コミュニケーションをとることが好き、という点や、勉強が必要なこと、経験年数が上がるほどつらいという点は、PTでもOTでも同じです。

違う点は、

1、働く場所に関しては、PT、OTの方が広がります。
STみたいに9割近くが成人の脳疾患なんてことはありません。
整形、呼吸器、循環器、脳、小児など選択肢が複数あります。

2、体力はPT、OTの方が必要
脳外科以外はあまり詳しくないんですが、うちの病院では、体力の必要性は全然違います。
断然、STの方が体力は温存できます!
重い人をかかえるとか、麻痺がある人を歩かせるとか。
PT、OTは腰を悪くする人も多いですよ。
STももちろん、重度の麻痺がある人を車椅子に乗せたりしますけど、あまりに重い人は乗せずにベッド上でリハビリもできます。
乗せる必要があれば、ヘルパーさんに頼んで二人がかりで乗せることもできます。
無理しなくてもいいんですよね。

でもPTOTは、自分の体重の2倍近くある人でも、コツをつかんでるのか、持ち上げたりもします。
さすが〜☆と思うのですが、だからこそ、能力以上のことをしてしまい、腰をやられることがあるみたいです。
この点は、私STで本当に良かったと思います。

でもPTOTでも、体力を必要としない就職先も十分ありますよ。

3、興味がある方を選んで。
これも大事ですね。
【人は脳でどのように言葉を組み立てて話しているのか、
脳の役割
子供の言語発達、
食べることの大切さ、飲み込みの障害によってどんな弊害が出るのか】
こんな事の方が興味があればST向きです。

一方PTOTは
【スポーツ、筋肉など体の仕組み】
でしょうか?

4、就職しやすいか、国家試験に通りやすいか
今のところPTOTは過剰ぎみですが、STはまだ過剰ではありません。
でも今後はSTも過剰になってくるでしょう。

STの需要自体が少ないので、地方に住んでると近くにSTがいる施設すらない、ということも。
田舎の小さい整形外科にもPTはいますが、田舎の小さいクリニックにSTはまずいません。
就職しやすいか、は比較しにくいですね。

次に国家試験の通りやすさについて。
STの方がやや通りにくいようです。

養成校が出している国家試験合格率、
PTOTの方が高く、どこも9割以上です。
でもそれは国家試験に受かる可能性がやや低い学生が国家試験を受けさせてもらえないから、です。
STは過去は学生全員が国家試験を受けられましたが、最近はPTOTと同様になりつつあります。
(2浪、3浪…の人は全員受けられます)
それでもPTOTに比べてSTの全体の合格率はやや低めで50%推移なので、やや通りにくいのでしょう。
完全に試験範囲を網羅しているつもりでも、誰も答えられないような問題が1割程度でしょうか、出てくる印象です。そこは諦めるしかありません。



以上PTOTとSTの適性比較でした。

理屈よりは直感で決める方がいいかも!




最後に、どんな仕事でも、働くということは本当に大変です。
STも大変な仕事ですが、人が好きであれば、何とか乗り越えて行けますよ☆

厳しいことも言いましたが、やりがいは本当にあります。
あの人のお役に立てたなーと思えます。
「ありがとう」と1日に何度も言われます。
私にはこの仕事しかない、と思っています。
そんな仕事です。