おばちゃん言語聴覚士のボケ予防日記

脳機能、認知症予防について興味津々なおばちゃん言語聴覚士です。急性期脳外科、通所リハビリを兼務してます。まだまだ勉強中の身ですが、一般向け、同業者向けの記事、育児、家事も書くかも。コメント大歓迎です☆

おくすりのめたね、らくらく服薬ゼリーは意味がある?

子供向けの「おくすりのめたね」、成人向けの「らくらく服薬ゼリー」、どちらも龍角散から発売されています。

この間軽〜中等度嚥下障害の方が、らくらく服薬ゼリーを持って来られていたので介助で使ってみました。

その方はパーキンソン病で頸部の固縮がある方で、咽頭へ送り込むために上を向くことができません。
普段はとろみ無しの普通食です。

錠剤が飲みにくくなったということで、服薬ゼリーを使ってみる、と通所リハビリに持って来られました。

結果、全然ダメでした。
食塊形成に障害があるため、ゼリーだけ嚥下してしまい、錠剤が口腔内前方に残ったままになってしまいます。
何度も服薬ゼリーを取り込みさせても同様。
スプーンで錠剤とゼリーを咽頭へ何度も押し込むうちになんとか飲めましたが、たった2粒の嚥下のために多量に服薬ゼリーを使ってしまったのでした。

ちなみに、とろみ茶で錠剤を飲んでもほとんど同じ。
それどころか、濃いとろみ茶の方が、ベタッと錠剤にまとわりつくので、服薬ゼリーよりも少し嚥下が速かったです。
まぁでも食塊形成と送り込みに障害があるし、普段はとろみ茶を飲まれてないので、今後は薬を粉末にしてもらうようお願いすることになりました。


メーカーホームページでは、服薬ゼリーについてこう記載されています。
「薬がつるんとまとめて飲める。」
流動性がなく、粘着質のゼリーだとのどに張りつきやすくなり、 かえって誤嚥の危険性が高まりかねません。」
「下記の実験では、トレーを斜めにすると、「らくらく服薬ゼリー」だけが、 薬を包んだまま、流れることがわかります」
「胃に届いた瞬間に分散します」

粘着質のゼリーやトロミの方が、薬をまとめる力はあると思うのですが…流動性は低くなるので、嚥下にやや筋力が必要です。
流動性のあるこの服薬ゼリーの方が、自覚として飲み込みやすい、と感じやすいのでしょう。
健常者で、錠剤を飲むのが苦手な方にはちょうど良いかもしれません。
しかし、何粒もまとめて飲めると記載されてますが、元々1粒しか飲めない人が、これで何粒も飲めるようになるとは考えにくいです。

今回の症例のように食塊形成、移送に障害がある方は不向きです。口腔内で既にバラけるので。
むしろ粘着性の高い濃いトロミの方が良いかも。


1番疑問なのは、なぜ胃に到達するまで薬を包み込んでいて、胃に到達した途端にバラけるのか?
その根拠は書かれていません。

ここで、らくらく服薬ゼリーの成分表示です。
【原材料】
エリスリトール、寒天、甘味料(ソルビトールステビア)、ゲル化剤(増粘多糖類)、酸味料、乳酸カルシウム、香料、クチナシ色素


市販の寒天ゼリーと、ゼラチンゼリーの合の子のような感じでしょうか…。


ちなみに健常児のお子様にとっては「おくすりのめたね」はオススメできますね。
粉薬が苦手なお子様、錠剤に挑戦したいお子様には、ゼリーの美味しさで服薬しやすくなるのではないのでしょうか?
薬局でも、薬と、ジュースやヨーグルト、アイスなどの相性を教えてくれるので、それを使ってみるのもいいですよ。